通常非公開の貴重な文化財が公開中だという、古都京都。
桜や紅葉の季節は、鬼のような人混みで鑑賞どころではなく、食事処を予約するのも一苦労の京都。
1月終わりは中国の旧正月前の端境期というチャンスの時期かもしれない、寒いけど。
思い立ったら「そうだ京都、行こう。」だ。これは名コピーだなあ。
「スマートEX」でスマホですぐに予約!モバイルスイカでチケットレスの超便利お手軽さで新幹線に飛び乗って友人と京都へ!まずはランチ、これはもう定番の「半兵衛麩」。
ここは京都でも有名な京麩一筋の老舗。五条大橋を渡って、五条通から問屋町通に入ったところにある。
とにかくメニューが麩づくし。田楽はもちろん、山椒生麩、お麩の焚き物、お麩のしぐれ煮、汲み上げ湯葉、白味噌と生麩のお椀 、、、どれをとっても美味しいし、お麩ばかりなのに飽きないのである。ウエルカム京都の至福をまずここで味わう、わたしにとっては儀式のようなものだ。ただし、超人気店なので予約は必須。「そうだ京都、行こう。」の「そ」の時にはもう予約の電話をしなくちゃならない。
お腹が満たされてから行くのは、今回の大きな目的でもあった「何必館・京都現代美術館」へ。「何必館」は「かひつかん」と読む。
「何ぞ、必ずしも」=「定説を常に疑い、それに縛られない自由な精神を持ち続けたい」という意味を込めて命名されたのだそうだ。
こんな祇園のど真ん中に美術館なんかあったっけ?というくらい、八坂神社前の祇園四条通り、「よーじや」の隣にある。
是非とも観たかったのは日本画家・村上華岳の「太子樹下禅那之図(たいしじゅかぜんなのず)」
この美術館を作るきっかけになった仏画で、そして樹木希林が自宅の枕元に複製画を飾っていたという。
若き日の釈迦が菩提樹のもとで坐禅を組んでいる姿を描いているのだが、その顔が誠に美しく、穏やかで、じっと見ていると心がすうっと落ち着くのである。事前に知ってはいたものの、実物を是非観たいと思って行ったのだが、残念なことに肝心の画はお座敷をしつらた空間の先に掛け軸として壁に掛けられていて、それは鑑賞するにはあまりに遠く、詳細を確認することはできなかった。無念。
ここでは北大路魯山人などの常設展のほかに、期間限定でヴォーグ誌のファッション写真家でもあったロベール・ドアノーの個展「ドアノーの愛した街パリ」を開催していた。彼が愛してやまないパリの街角の何気ない人々の生活や偶然の一瞬を切り取った写真の数々。個人的にはル・コルビュジエやデイヴィッド・ホックニー、ジャコメッティ、藤田嗣治などの芸術家たちのポートレートの中にあった「ピカソのパン(1952年)」がよかった。一瞬、「ゴルチェ?」と思ったくらい、ボーダーを着たお洒落なピカソ。テーブルの上には手の指のように置かれたパンがユニークな1枚である。
この通りには、「鍵善良房」があって、泣くほど美味しいくずきりを食べたかったのだが、人が並んでいて断念した。
次の目標は「みよしや」! 祇園四条で夕方数時間だけ販売する幻の炭火焼みたらし団子屋である。お持ち帰りなので狭い通り沿いに長蛇の列ができるのだが、こればかりは並んでもゲットしたい。きな粉をかけてもらうと香ばしさが増してもう昇天する。がしかし!以前は夕方17時からだったはずなのに、今は夜21時からだと!え?21時?なにそれ?
仕方なく何か甘いものを〜と高島屋の地下で「出町ふたば」の豆大福を買う。これまた人気の出町柳にある名店で、高島屋ではレジの脇にそっと置いてあるのでわかりにくい。残り少なく、ぎりセーフ。
甘味処を2つとも断念したのは痛い。
せめて夕食は外したくない。だが行った日が日曜日だったせいかことごとく空いていない。見つけたのは河原町にある「おにかい」。
煮野菜の居酒屋で、とにかく京野菜がたんまり食べられる。あっという間に満席の人気店で、当日予約が取れたのが奇跡に近かったみたい、時間を切られて滞在時間は1時間15分だった。。。
翌日はこれも京都に来たらお約束の世界文化遺産パワースポット、京都最古の下鴨神社へまずお参り。冬は木々が枯れているせいか以前行った時のように森林浴的な雰囲気はなく寂しかったのだが、さすがに空気は清々しく、食べ過ぎた腹も心も洗われるようだった。
そしてブランチは南禅寺にある湯豆腐屋「順生」へ。ここで食べるゆば会席のゆば鍋は絶品である。幕を張ってきたゆばを串でさっとあげて食べる汲み上げゆばの美味しさといったら!会席なのでお刺身などがついてくるのだが、「それ、いらないからゆば鍋お代わりください」って本当は言いたかった。満腹。。。
南禅寺はゆったりした空間で、赤レンガの水路閣などがあり散策にうってつけの大好きなお寺。だがこの日は非公開文化財の特別公開を観に行くため、三門あたりのみ簡単にお参りだけして洛西方面へ。
今回の非公開文化財特別公開は「京都にみる日本の絵画~近世から現代~」
その中から3カ所をピックアップ
①仁和寺の金堂・経蔵
中央に八角形の回転式輪蔵(経典を収める)、本尊・阿弥陀三尊像、四天王像、帝釈天像など、、、そして美しい極彩色の周囲の浄土図壁画。渋目のペパーミントグリーンや臙脂色などわたしの好きな色の組み合わせなのだが、そもそもよく今までこの色彩が保たれているのが凄い。世界文化遺産である。
②転法輪寺の阿弥陀如来坐像・釈迦大涅槃図
像高2丈4尺(約7.5m)の阿弥陀如来坐像と幅3.9m×高5.3mの「釈迦大涅槃図(しゃかだいねはんず)」が
狭い空間の中で圧巻!ありがたーい気持ちになる。
③妙心寺 天球院の障壁画
狩野山楽と山雪の「竹虎図」が有名。「梅に遊禽図(ゆうきんず)」の廊下には、参拝客が寄せたという刺繍の遊禽図が収められていてそれもすごい。ここにきて初めて「これ以前に観たことあったわ」と気づく。
個人的にはやはり仁和寺で観た浄土図壁画が素晴らしかった。なんだかすごく気持ちが落ち着いたのと歩き疲れたので帰路に着くことに。
帰りの新幹線で食べるお弁当は、京都駅の伊勢丹地下2階で「二傳」を予約済み。伊勢丹では「下鴨茶屋」「菊乃井」「辻留」「瓢亭」など京都の名店のお弁当を予約できるのである。新幹線に乗る前にピックアップしていけばいい。
まあ、旅で食を外してはならないのは鉄則。
今回は「半兵衛麩」の麩⇒「出町ふたば」の豆大福⇒「おにかい」の京野菜⇒「順正」のゆば鍋⇒「二傳」の弁当
1泊の旅だったけど寒さも一時的に和らいだ時で、真冬の割に外は歩きやすくて「そうだ京都、行こう。」はすこぶる満足であった。