その昔、わたしの中で流行っていたニューバランス と言ったらMRL996だった。メイドインUSAのM996とアジアのMRL996(今はCM996)があって、通はUSA版を好むけど、ちょっと硬めだったし、アジア版でも抜群の履き心地の良さを誇っていて、色違いを何足も集めたものである。
今でもクラシックなローテクスニーカーの中では一番の履き心地とスタイルだと思うが、なんとなく最近、見た目や作りがチープになったような気がして、遠ざかっていた。
ましてやアディダスやナイキに欲しいスニーカーがたくさんあって、ニューバランスそのものに興味を失っていたのだが、ある日、セレクトショップに珍しい型のニューバランスを見かけて、お?!と思わず履いてみた。それがUXC72だったのである。
今流行りのミッドソールがカカトより後ろに軍艦のように迫り出してる形で、sacai×ナイキWaffleやオニツカタイガーでも見かける型である。
XC72とはニューバランスのデザイナー シャーロット・リーが手掛けた新型シューズ。
このデザインソースは1979年に登場したニューバランスの"Three of the Best"と題されたキャンペーン広告かららしい。
異なるランニングのタイプから最適なシューズを提案する"Three of the Best"という広告は トレイルシューズの「375」、クロスカントリーシューズの「XC15」、軽量ランニングシューズの「620」の3モデルがフューチャーされていて、それらのニューバランスが誇るアーカイブの象徴的なデザインディティールを取り入れ、ヘリテージに基づきながらも、目を引くオーバーサイズのビッグNロゴや、一見ボーリングシューズに見えなくもないシンプルでスリークなアッパーパターンなど、現代的なデザインを融合させているのが特徴とのこと。
(※ニューバランスHPより)
何より奇抜なのはシューズの内外や底の左右で異なるアシンメトリーなアウトソールパターンである。なんだこれ??丸と台形のような四角で構成されていて、歩く時違和感ないのかしら?と思ってしまう。
それに多角的にシェイプされたヒール、70年代のコンセプトカーから着想を得たというスクエアトゥなどのディテールを採用し、インパクトのある現代的デザインでありながらノスタルジーを感じさせるルックというのがまたいい。
わたしが試着したのは、なかなか履いたことがないくすんだ水色配色のUXC72-EBだった。これはこれで履くとなかなか良く思えてきて悩んだのだが、色違いが結構あることに気づいて、とりあえず落ち着いて探してみることにした。
このUXC72シリーズはカラフルな色から渋めの色までかなりのカラバリがある。
▼試着したUXC72-EB(左)と 一番欲しかったUXC72-SD(右)
UXC72-EBは、ニューバランスのランニングシューズのアーカイブからインスパイアされたカラーで彩った“ENHANCED LEGACY PACK”
⇒見た目より履いてみると意外としっくり馴染むカラー。
UXC72-SDは、風合いのあるスエード/メッシュアッパーをレガシーカラーで彩った“FUTURE LEGACY PACK”
⇒このUXC72-SDが、一番欲しかったのだが、どこを探しても売り切れでガッカリ。。
▼実際に購入したUXC72-EC(左)と UXC72-KX(右)
UXC72-ECは、ニューバランスのランニングシューズのアーカイブからインスパイアされたカラーで彩った“ENHANCED LEGACY PACK”
⇒インパクト強めだが、普段の洋服にも合うシックなカラー。
UXC72-KXは、風合いのあるスエード/テキスタイルアッパーをレガシーカラーで彩り、アウトソールにヴィンテージ加工を施した“WORN PACK”
⇒少し汚れたようなヴィンテージ加工はしなくてもいいけど、カラーの組み合わせが絶妙に良くて、ジーンズなどにも合う。
最近のニューバランスで一見似たようなデザインでMS327(レディースはWS327)シリーズがあるが、これはたまに履いている人を見かけるけど、残念なのは内側にNマークがないこと。外側にあれだけデカくあるのに、なぜ内側のNマークを外してしまったのか??つけ忘れたとしか思えない間抜けな仕様なのである。またソールも◯ポチだけで構成されていて、形もUXC72ほどインパクトはないので凡庸型かな、と。
ちなみに踵のミッドソールが迫り出した型ではNIKE x sacai x UNDERCOVER LD ワッフルを1足持っているが、これはこれでシューレースを二重にして赤白、黒白と楽しめたり、履き心地より見た目で選んだスニーカーである。
▼NIKE x sacai x UNDERCOVER LD ワッフル
ニューバランスUXC72を履いてすぐに感じたのは「さすがニューバランス!安定の履き心地の良さ」である。新品を履いて違和感なく足にしっくりくる靴はそもそも珍しい上に、デザインがなかなかモードであればなおさら難しいのに、試着だけでおお!というのはもう運命の出会いとしか言いようがない。
一日歩き回っても全く疲れ知らず。新品のスニーカーでも足が痛くなることもなかった。何よりデザインのインパクトに履いてて気分が上がりまくる。
とにかくナイキやアディダスに押される中で、ニューバランスも頑張っていたんだなと思わせてくれるこのUXC72、新しい伝説の始まりである。