猫のツメ、ときどき腰痛。

偏った物欲と健康への偏愛。ときどき旅。ときどき腰痛。 せまりくる高齢化社会を笑いながら生き抜くための情報発信ブログ。

ロス感が半端ない「二十五、二十一」

わたしの中で圧倒的存在だった「リアル恋愛韓国ドラマ」一位の座をあっという間に奪い去ったドラマがある。
キム・テリナム・ジュヒョクが出演する「二十五、二十一」だ。
ついこの間Netflixで最終話が配信されたんだが、コミカルとシリアスの塩梅も絶妙で、毎週末の配信をリアルタイムで観ていたというハマり具合。どうしても最後に納得できずにすぐさま1話から見直して、今もなお、ロス感が半端なく、いい歳して電車の中でも名シーンを繰り返し観て涙ぐむ自分が気持ち悪いくらい。
 
※以下ネタバレあり
 
この「二十五、二十一」は、フェンシングで韓国代表を目指すナ・ヒド(キム・テリ)が18歳から21歳に、事情があって大学を中退し、テレビ局の記者になったペク・イジン(ナム・ジュヒョク)が22歳から25歳になるまでの、一番輝いている青春時代、その時代ならではの困難に立ち向かい、恋が愛に成長する過程を描いた「成長痛」のような物語だ。
 
悲しいことに、物語の序盤からもう二人が別れて大人になってしまっているのがわかる演出になっている。なので二人の出会いから青春時代が始まるのを観るにつけ「なぜこの二人が別れてしまっているのか?今の関係は?」が気になって気になって気になって仕方ないのである。ここらへんの演出が巧妙!
 
記者と取材対象者との距離感に悩み、一度は距離を置こうと言ったイジンに対して、ヒドが真っ直ぐに気持ちを伝えたことによってやっと二人の明るい未来が始まるかと思ったのに、、、
ただしそこまでの過程、確実な関係になるまでの微妙な距離感と気持ちの揺れがこの物語の醍醐味でもあり、自分の青春の走馬灯感にもつながるいい感じのところでもあるので、物語の尺のほとんどはこの時期のことで、実際に別れる原因がわかるのは最後の15話の後半から16話でしかない。
 
詳細のあらすじに関してはいろんなサイトに出ているので気になったら読んでみて欲しいが、できれば何の前情報なく観始めて欲しいドラマである。
 
 
ちなみにわたしがいうところの大人が楽しめる「3大リアル韓国恋愛ドラマ 傑作選」の1位は、チョン・ヘインとソン・イエジンの 「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」からチェ・ウシクとキム・ダミの「その年、私たちは」に変わっていたのだが、従って新しく王座に着いたこの「二十五、二十一」を入れて3つが「3大リアル韓国恋愛ドラマ」となっている。
注:名作「トッケビ」( 監督:イ・ウンボク 脚本:キム・ウンスク)  はリアルではなくファンタジーなのでここでは除外
 
 
「二十五、二十一」2022
出演:キム・テリ/ナム・ジュヒョク
監督:チョン・ジヒョン 脚本:クォン・ドウン
 
「その年、私たちは」2021
出演:チェ・ウシク/キム・ダミ
監督:キム・ユンジン 脚本:イ・ナウン
 
「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」2018
出演:チョン・ヘイン/ソン・イエジン 
監督:アン・パクソク 脚本:キム・ウン 
 
上位3位には入らないが、いい線まで行っていたのが
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出演:チャン・ギヨン/イム・スジョン
監督:チョン・ジヒョン 脚本:クォン・ドウン
 
なんと、監督、脚本が「二十五、二十一」と同じなのである。
 
 

ナム・ジュヒョクについて

いい恋愛ドラマを見るたびに思うのが男女の配役の妙。このドラマのために生まれてきたような役者ばかりだと思うのはやはり彼らの演技力のなせる技だと思うのだが、イケメン志向のわたしがことナム・ジュヒョクに関してだけは、さほどイケメンでないのに何故か目が離せない、いや実はイケメンなんじゃないか?と錯覚させるほどカッコ良く見える瞬間があるので、彼はホントに不思議な魅力の役者である。
それは彼の繊細な表情、特に瞳で感情を表すのが絶妙なせいではないか?と思うのだが、187cm長身のモデル出身なのに演技の才能がこんなにあるなんて、と韓国の俳優の層の厚さにも心から感心してしまうのである。
 
韓国では本当に付き合っているかのような演技力で「私の彼氏?」と女性たちを錯覚させ虜にすることから「現実彼氏」と呼ばれているらしい、笑。
実際、この「二十五、二十一」でも彼の憂いを帯びた表情、泣き顔、情けない顔、男らしい顔、笑った顔がどれもリアル過ぎて、そしてイジンという主人公の感情を見事に表現していて、彼の顔を見ていると、自分も青春時代にこんなことがあったよなああ(なくてもあったかもしれない)、とデジャヴ感につい顔が緩んでしまう。
 
観た人にしかわからないペク・イジンの表情お気に入りシーン
 
顔を斜めに傾けてヒドを見る顔
・体育館の壁に斜めに頭をつけて
・虹を見た橋の上で「愛だ」と言った後
・修学旅行のビーチに並んで座ってヒドを見ながら
・屋上で花火を見ながら横目で頭をゴツン
 
マンガのような驚きの顔
・ヒドの家で初めて母親に会った時
・ヒドがフランス語がペラペラなのを知った時
・賄賂の夕食がある日なくなっていた時
・酔ってヒドと間違えてジウンに電話してしまったことに気づいた時
 
マジで怒った顔
・元ダーリンに対してヒドに関して話した時
 
ちなみにイ・ソンギョンと共演した「恋のゴールドメダル〜僕が恋したキム・ボクジュ〜」では水泳部のトップ選手で意外と軽いノリの、女子に大人気の役を演じているのだが、その時に見せてくれる細マッチョな肉体美は、一度見たら忘れられず、全世界の男どもがこうあるべきだとさえ思ってしまう。なので、これを観てから「二十五、二十一」を見ると、実は顔や演技だけでない、もっと深い、ありがたい気持ちでナム・ジュヒョクに没頭できる。
 
 

キム・テリについて

そして相手役のキム・テリもまた只者ではない。
お嬢さん」で驚くような女性同士の濡れ場を演じたかと思えば「ミスターサンシャイン」(監督:イ・ウンボク 脚本:キム・ウンスク)では相手役のイ・ビョンホンを圧倒する演技で観た人たちを魅了した。(このドラマもすごーくオススメである)
 
何と言っても31歳で高校生役が全く無理なく違和感ないって、どういうこと??
確かに童顔で身体も細いので、とは思うが女子高生をやるとどこかに必ず年齢の綻びが見えるもんだが、アップになってもそれが全くない。しかも大人びた女子高生ではなく、ちょっと子供じみたところもある女子高生の役なので、それでも話し方や歩き方、仕草の一つ一つまでがまるでそのままのように感じたのは、彼女のものすごい努力か天性の成せる技だろう。
 
このドラマではヒドのポジティブなエネルギーにものすごく力をもらった。彼女に影響されてしばらくはポケットに手を突っ込んだちょっと外股の歩き方が似てきたようだった。
「知らなかった?あんたの彼女はクズよ」と言って焼酎を一気飲みする姿は最高にかっこいい。
 

最後にどうしても言いたい、自分の中で消化しきれない「なぜ?」

 
今でも思う疑問
・イジンはなぜニューヨーク特派員に応募するときにヒドに相談しなかったのか?
・イジンがニューヨークに行かなかったら二人はハッピーエンドだっただろうか?
・イジンはなぜヒドの日記をヒドに直接渡さずに古本屋に預けたのか?
・ヒドはなぜイジンを待ってあげられなかったのか?(イジンに別れるつもりはなかったはず)
 
全てはあの2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロのせいだっただろうか?
イジンがニューヨークの現場で見たあの悲惨な状況に心を痛めなければ、心がすれ違うことはなかっただろうか?
イジンはニューヨーク特派員に応募したことを母親から聞かされるかもしれないヒドの気持ちを考えなかっただろうか?
例え母親との経験があったにせよ、大人になったヒドはイジンの状況をもう少し考えてあげられなかっただろうか?
 
「一緒にいる時は幸せになろう」から「つらい時は一緒に苦しもう」へ
「あなたを手に入れる」から「すべてを分けてもらう」へ
二人の関係はうまくいっていたはずだったのに。
 
でも若い時はやっぱりそれができないからこそ二度とやり直せない青春の思い出になるのかもしれない。
 
「私たち、もう別れていた」と言ったヒドの一言にイジンは傷ついたに違いない。
それはNYにいるイジンとの電話で「成長」の時? 次の年の年越しを一人で迎えた時?
苦しい気持ちを分かち合って欲しかったヒドと彼女にそんな思いをさせたくなかったイジン、食い違う二人の主張がぶつかり合うあの喧嘩のシーンはホントにありそうな男女のリアルなやり取りだった。ああ胸が痛い。
 
ヒドが言うように「愛はむずかしい」
 
 
「永遠なんてない、だからその後の長い人生が輝いていられる」
なんて、体裁のいい言葉で終わって欲しくなかったかも、、と思うくらい、彼らにもう一度チャンスを、と思うくらいこのドラマに没入してしまったのは間違いない。
 
そしてまた一方で「ハッピーエンドで終わらない」からこそ、このドラマの余韻がいつまでも切なく続いて、忘れられないのかもしれない。
 

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