猫のツメ、ときどき腰痛。

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GWに感動した韓国ドラマはコレ!

コロナが収束しないせいなのかどうかは置いておいても、昨今の韓国ドラマブームの勢いは衰えることなく、というかNetflixの一人勝ちのようにも思える配信ドラマ全盛の中、韓国ドラマはけっこう観つくした感があったのだが、、、またしても見つけてしまった病みつきドラマ。

 

「ヴィンチェンツォ」

Netflix1位を驀進中の「ヴィンチェンツォ」はソン・ジュンギの魅力満載のコメディ(最初はコメディとは思わなかった)ドラマ。個人的には好みのタイプではなかったのだが、「太陽の末裔」でのソン・ジュンギは軍服の魅力盛りでさすが王道のイケメンぶりに萌えた。
今回の「ヴィンチェンツォ」ではイタリアマフィアの顧問弁護士役で、イタリア製スーツをバッチリ決め、顔面アップ全開で、思わずマグカップ持ったままテレビ画面に吸い寄せられたほど。
役柄もイタリア帰りのミステリアスで危険なダークヒーロー、冷徹で非情で何事にも動じない男で、だからこその微妙な塩梅のコメディ演出が効いている。いわゆるギャップ萌え。いきなりソン・ジュンギ推しに。
相手役のヒロイン、チョン・ヨビンは初めて見たがなかなかのコメディエンヌぶりである。そしてアイドルグループ2PMのオク・テギョンがまたサイコ的な役(これ一番おいしい役)を演じててかなり面白い。
企画制作は、さすが制作費を半端なくつぎ込み、クオリティーの高さでも何処にも負けないスタジオドラゴン。
 

「シーシュポス: The Myth」

青い海の伝説」のチン・ヒョク監督によるファンタジードラマ。ちょうど「ライフ」という医療ドラマを観たばかりだったので、その繋がりで主役のチョ・スンウに興味を持った(なんとミュージカル俳優?)のだが、これはいわゆるタイムマシンで過去に戻るSF系ドラマ。
主人公が未来で造ったタイムマシンで過去に戻ってきた相手役のパク・シネの話から始まるのだが、観ているうちに過去と未来の時間軸がより複雑になってだんだんわからなくなってくる。
個人的にはパク・シネがなあ〜と、、そもそも彼女のワンショットさすらいシーンが長いし、そこで引いた感があった。
ちなみに「シーシュポス」とはギリシア神話に登場する人物で「徒労」を意味する「シーシュポスの岩」で知られる。でも結局どうなるの?の興味で最後まで飽きさせないなかなか見応えのあるドラマではあったので、決して徒労ではありません、はい。
ここまではいい。Netflixでも上位に君臨するドラマだから観た人も多いだろう。でもわたしがその後何気に観はじめたこのドラマこそが、GWにふさわしい大河ドラマを凌ぐ壮大な感動歴史ドラマだった。
それは、、、
 

「ミスターサンシャイン」

久々のイ・ビョンホンである。2018年の作品なのだがわたしにとっては、彼のドラマは2010年のTBS放送「アイリス」以来?そして映画「悪魔を見た」での残酷な復讐シーンが最後の記憶かも。とにかくイ・ビョンホン主役で変に安っぽいことはないだろうと観はじめたのだが。。
なんとこれ「太陽の末裔」「トッケビ」を手がけた『脚本:キム・ウンスク×監督:イ・ウンボク』コンビの作品ではないか。。この2作品はわたしの勝手な個人的見解「韓国ドラマAランク」にランクインしている名作である。
そしてなんと430億ウォン(約42億円)というテレビドラマとしては異例の制作費。これは面白くないはずがない。これもスタジオドラゴン制作。

 

この最強コンビの作品にやはり間違いはなかった。とにかくGW後半はこのドラマにずっぽりハマり、夜中に号泣するヤバい姿のわたしは、途中でどこで切り上げていいのかわからず延々と毎夜3時くらいまで起きていたため、昼夜が逆転する生活に。
 
ちなみにこれ、フィクションとはいえマジの歴史大作なので、ここでは時代背景を知っておいた方が良い。歴史に疎いわたしは、自分の無知さを恥じて、一応この時代に何があったのかをざっくりではあるが、調べてみた。
 
(注意:以下ネタバレあり)
 
ドラマの時代は1871年に始まり1900年代初頭まで、朝鮮が開国し、日本が支配する時代の話で、大韓民国の義兵の動きを軸にして話が繰り広げられる。
1871年というと、米国が軍艦5隻を率いて朝鮮に開国を要求した、これが「辛未洋擾(しんみようじょう)」。その前に起こった朝鮮による、非武装のシャーマン号襲撃事件に対する賠償請求と報復で、米国艦隊が勝利したが、開国は実現しなかったらしい。その時の船に潜り込み、幼い主人公は米国に渡ったのである。
そして米国人となり、海軍の大尉として再び朝鮮に帰国するところから、時代の変化とともに壮大なドラマが繰り広げられる。
 
ちなみにその頃の日本は明治維新後、新政府が欧米諸国を模範とした国内の近代化を進めていた時期、明治時代(1868-1912)になる。
1904年には朝鮮半島と満州の利権をめぐる日露戦争が勃発し、大日本帝国が勝利。アメリカ合衆国の仲介でポーツマス条約が調印された時代。
 
このドラマの背景にはこの日露戦争が大きく影響している。ロシアを牽制するアメリカ、イギリスを味方にした日本側は、朝鮮半島を自国の勢力下に置こうと大韓帝国の財政、外交に大きく関与する中、それに反対する大韓帝国の皇帝、高宗(こうそう)や官僚の両班などが日露戦争の最中にロシア側に密使を送ったことがバレて条約違反となり、ますます状況は悪化する。
 
ここで両班とは?この時代の貴族(支配)階級で王族を除けば最高位に当たり、文班(行政官吏)や武班(軍事官吏)となり民を治めていた。その両班の名家のお嬢様が、イ・ビョンホン扮する主人公の相手役、ドラマのヒロインである。日本で独立運動を行っていた両親を亡くし、祖父に育てられていたこのお嬢様がまた只者ではない。親の血を引いたのか、彼女の裏の顔は、当時の日本の侵略から朝鮮の主権を取り戻すために、銃を担ぎ闘っていた義兵だったのである。
 
反日の義兵運動は1907年に「日韓新協約」が成立し、韓国軍隊の解散が日本軍によって強制されたことを機に、義兵たちが一気に巻き起こした闘争である。
 
辛い過去から朝鮮を憎み朝鮮を捨てて米国人になった奴婢出身の男と、自分の信念を貫き、朝鮮を守るために一義兵として散ることを覚悟し最後まで闘う両班のお嬢様、、この2人の出会いから別れは時代の宿命を纏って観る人の心に深く刺さる、そう壮大な歴史ドラマでもあり究極の恋愛ドラマだった。
 
義兵の将校に撃たれ暗殺されたという初代内閣総理大臣、伊藤博文も登場する。日本軍人の描き方が誇張されて残酷であったり、陳腐な日本語に引く部分もあるが、そこはあくまでフィクションドラマの演出や役者の日本語の力量で仕方なく、主演級の役者たちの迫真の演技は見ものである。
今までは優くて育ちのいい医師役のイメージだったユ・ヨンソクは、え’'?誰これってくらいここでは奴婢の出で日本に渡った凄まじい浪人役を演じている。(しかし謎の行動が多すぎ)改めて観ると演技も表情も素晴らしいし、それに負けず劣らずのヒロイン役キム・テリ、舞台女優でドラマが初出演なのだとか。堂々とした両班のお嬢様を本当に堂々と演じていた。
彼女を取り巻く米国軍人、浪人、そして婚約者の男たち3人が各々の信念と立場で彼女を守っていく様が潔く格好いい。
 
これ、本当に観てよかったと思ったので、長くなってしまったが、GWが過ぎても一度観て損はない。その前に時代背景をチラッとおさらいしておくことで、このドラマの醍醐味は変わってくるはず。オススメです。
とにかくNetflixオリジナルシリーズにはハズレがない。
 
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