猫のツメ、ときどき腰痛。

偏った物欲と健康への偏愛。ときどき旅。ときどき腰痛。 せまりくる高齢化社会を笑いながら生き抜くための情報発信ブログ。

ソン・イェジン&チョン・ヘイン魅力全開「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」

外出自粛中にとにかく韓国ドラマにハマった人も多いと思うが、かくいうわたしも話題の「愛の不時着」でのヒョンビンソン・イェジンの愛の行方を思い、夜中に涙した中毒患者の一人である。
このドラマでヒョンビンの人気が再熱したらしいが、ドラマの功績はやはりソン・イェジンにあるとみる。彼女は2004年の「私の頭の中の消しゴム」で若年性アルツハイマーに侵されていくヒロインの役での見事な演技が記憶に残っていて、(怖くて二度と観れない)あの童顔の印象を見事に覆した演技派女優と言ってもいい。
 
そのソン・イェジンつながりで「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」というドラマを観た。
2018年最も話題になった韓国ドラマ」1位に選ばれたという本作は、タイトルからは想像つかない映画のような映像美と、リアルな男女の恋愛風景、その中での繊細な感情表現やセリフを見事に織り込んだ秀逸なドラマだったのでここで紹介したい。
(※ネタバレあり要注意)

「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」概要

ストーリーは兄弟姉妹のように育った2組の姉と弟。姉同士、弟同士、親友でありかつ家族でもある。その姉の片方であるソン・イェジン演じるジナと、片方の弟であるチョン・ヘイン演じるジュニとが恋に落ちるラブストーリである。
ここで問題になっているのが女性の方が年上であること、二人が家族同様に育ったこと、そしてジュニ側の家の両親の問題。そしてさらにジニが勤める会社でのセクハラ問題が大きく絡んでくる。
大した問題じゃないように思うが、これには徹底した目上への尊敬の態度と家族愛、家長制度、そして格差社会、女性差別、セクハラなどの社会背景なしには理解できない韓国特有の実情がある。年上の女性との結婚に関しても依然と偏見もあるようだ。
 
そんな中でこのドラマは長い長い映画を観ているようで、そして観終わった後に、すごくいい映画を観た余韻と残像感がずっと残っていて、二人のシーンは何度見ても飽きずに見直したくなる(実際3回観た)。監督はアン・パクソク、その映像美と音楽には定評がある監督。脚本はキム・ウン
 
印象がベタな恋愛ドラマに終始してないのは、やっぱり映像と音楽の為せる技といったところか。
演出が印象的なのは、常に同じ場所が出てくるところ。ジナのマンションの入り口、ジュニのマンションの廊下(姉の部屋と渡り廊下で隔てられている造り)、抜け道に入る破れたフェンス、など物語の序盤から同じ場所を繰り返し映しながら、その時の二人の関係の進展具合がわかり、その場所の印象も違ってくる。淡い照明の使い方や場面のぼかし方、カメラのアングルなど、ものすごくセンスかよくて、繰り返し流れるOSTが雰囲気を盛り上げてくれる。
 
その3曲がこれらの挿入歌。

「Something in the Rain」レイチェル・ヤマガタ ※メインテーマ

「Stand By Your Man」タミー・ワイネット

「Save The Last Dance For Me(Whistling Love)」Namyeon Lee (イ・ナムヨン)

この中で、今でも頭にリフレインして止まらない「Stand By Your Man」は、映画『めぐり逢えたら』(トム・ハンクス、メグ・ライアン主演)でも使われた60年代のオールドポップスである。
 

“次世代スター”チョン・ヘイン

ソン・イェジンは、等身大(まだちょっと成熟が足りない)の35歳の女性の魅力をシリアスにもコミカルにも見事に演じきったと言っていい。さすがである。
そして世の年上女性を虜にしたと言われるのがジュニを演じた“次世代スター”チョン・ヘイン
彼を検索して出る画像の顔は、このドラマとはちょっと印象が違う。整ったハンサムには違いないが、さほど特徴のない顔で、え?この子がジュニ?と思うほどである。
だがひとたびドラマの映像の中で観ると、若さゆえの無鉄砲さや無邪気さ、時折見せる男っぽさ、その多彩な演技力に脱帽なのである。
その魅力はなんと言ってもあの笑顔。彼女とうまくいってる時のなんとも言えない嬉しそうな笑顔がチャーミングなことこの上ない。あれにヤラれた年上女子は多い。そして、わたしが大好きだったのは困った時の焦った顔、、と、その彼が怒りを表した時の顔。
そして自分の歳を忘れて、その全てが自分に向けられているような錯覚と妄想を起こすこのドラマはマジでヤバい。
 
楽しみ①ジュニの焦った顔
第5話で、職場の皆と飲んでる席で初めてジナに手を握られたシーンで楽しめる。
 
 「どんなタイプが好きですか?」とジナに聞いた同僚に対する顔
 「悪い男は嫌いなんですね、ジュニは脱落だ」と同僚に言われた時の顔
 「お前が口説いて落ちなかった女はいるか」と同僚に暴露された時の顔
 「なびかない女がいるんだな」と同僚に詰め寄られた時の顔
 「確信はあるけど、、まだ聞けてない」と言った時の顔
 「断られるのが怖いんだな」と同僚に聞かれ「そう言ってるだろ」と怒った時の顔
 「まだ確実な関係ではない、でしょ?」と言われて渋々うなずく顔
  そして「今はまだ、、」と言いかけた瞬間、ジナに手を握られた時の顔
  その後ジュニから指を絡めて繋ぎ直した後の顔 
  残り1%の奇跡をやっと掴んだ顔
 
  その全ての微妙な表情の違いが素晴らしく愛おしい。
 
楽しみ②ジュニの怒った顔
ジュニの怒りとやるせなさのシーンは、ジナがいちいち問題を起こすたびに出てくる。
 
4話:ジナの家で元恋人と両親がいるところに遭遇した時
元恋人につきまとわれて嫌なはずなのに何故?ヨリを戻す?という不安と怒り?元恋人に掴みかかったはいいけど、浮気を知ったジナの弟スンホの方が怒りに任せて追い返したので、ちょっと宙ぶらりんに、苦笑。
翌朝「自分が拒めば来ないはず」とジナを突き放す拗ねた感じがまだ少年っぽい。距離が縮まってきた時だけになおさら苛立つ感じ。
    
6話:ジナの元恋人が店に押しかけて来て襲われそうになった時
連絡がつかないジナを心配して姉とジナの店に行ったときのなんとも言えない怒り。この時にはもうお互いの気持ちを確認しあっていた時だから、「怖がらずにはっきり言ってやれ。これで終わると思ったら大間違いだぞ」と言うのは八つ当たりで、何もしてやれない自分への怒り、胸の痛みでもあったと思う。「二度と一人にはしない」といきなり男っぽい、惚れる。
    
8話:元恋人がジナの会社に花束を送った時
ストーカーまがいの大きな花束が送られてきただけでも怒り心頭なのに、弟のスンホと元恋人の家に怒鳴り込みに行った際に見つけたパソコンの中の写真を見てさらに逆上。パソコンをボコボコに壊した彼の荒っぽい姿が何故か素敵、笑。
 
10話:ジナが逆上して元彼のところに怒鳴り込んで警察沙汰になった時
迎えに行った警察署で元恋人に殴りかかるジュニ、そしてジナを思わず抱き寄せるジュニ、その時の弟スンホの驚きの表情が笑える。 さらにジナが元恋人の母親にジュニのことを「私の恋人です」とはっきり答えた時の弟スンホの呆れた顔が!!弟にとって衝撃の一夜であったことは間違いない、笑。
 
11話:元恋人がジナを車に載せて暴走した時
元恋人の名義だった携帯が壊れて変更の手続きを一緒にするために車にうっかり乗ったジナ(ここで彼の車に乗るかよと呆れる)が、イカれて自暴自棄になった彼に連れ去られ、事故に合う。連絡がつかないことに異変を感じたジュニが、心配で気が狂ったように探し回る。救急病院で元恋人に掴みかかった時のジュニの怒りと狂気の目、検査室で着替えているジナを見つけた時の安堵感、帰りの車で「怒ってる?」と聞かれて(聞く方も聞く方だが)「今は違う」「もういい」というジニの表情、「おかしくなりそうだった」と涙ぐむ顔、なんだかなー、呆れる態度が起こしたジナのこの罪は大きい。
            
15話:ジュニの家に押しかけてきたジナの母親になじられた時
ジュニの母親にいきなりビンタされた挙句、「あんたは基準を満たしてない」とまで言われたとき、怒りというより失望しかなかったのではないだろうか?わかってもらおうとするだけ無駄。この鬼母の暴言に耐えられる男はいない。根が優しければなおさら。16話で嫌な予感に引き返してきたジナをぶつ母親から身体を張って守りながら「僕は平気だから」とジナをかばう彼の気持ちやその後の落ち込みぶりに、この事態がただ事じゃなことを知る。これって韓国特有の親子像なのか?ジナが自分を庇えば庇うほど胸が痛くなるという彼の気持ちが切ない。
 
17話:ジナが見合いをした時
ジナが母親の勧める見合いに行ったことをジュニの姉に見られ、ジナを見合いさせる=ジュニたち姉弟を見下している事になる、ジナの母親にジュニがどんな目に遭ったかわかると怒る姉に、涙目でやるせない怒りの表情を向ける。抗えない彼らの境遇に対する怒り、目の周りに熱を帯びたような彼の表情がなんとも言えない。
 
18話:ジナがジュニの父親に会っていることを知った時
「来いよ」「聞こえないのか」と声を荒げた時の彼の怒りの表情は、息子という立場のシーンだったせいか、どこか少年っぽい。「何もわかってないだろ」「勝手にしろ、だけど俺に強要するな」という言い方もそう。「大人になりなさい」と言ったジナが年上の表情を見せたことに対する年下の反抗心みたいで、初めて見せる顔。
 
19話:ジナの母親に殴られたことを話した時
自分が認めていない父親を自分の恋人が父親と認めてしまったせいで腹を立てていたという話しの流れで、ジナの母親から殴られた時の話をしてしまったことで、余計に話が悪化していく。なんだかお互いを庇うための嘘がよけいに状況を混乱させてきたことが一気に爆発か?「君の目には幼稚に見えるんだろ?」「その行動が俺を幼稚にさせるんだ」と、どんどん話が泥沼に、、、ここでのジュニの分かり合えない状況に対する悲しみの表情にも胸が痛くなる。
そもそも父親に会う前に「自分の意思を確認するべきだった」というジュニの主張はすごく正しい、苦笑。二人が初めて理解しあえず喧嘩になった貴重なシーン。
 
20話:両親の前で「別れましょう」とジナが言った後
19話で、暴言がエスカレートする母親とジュニの姉との言い争いが始まって耐えられなくなったジナが、ジュニの父親やジナの両親の前で「これで終わりにしよう」「別れましょう」と言い放ち、その後のジュニの気持ちはいかばかりか。。。というシーン。ここ、その前の喧嘩が解決していないままに起こったため、尚更ジュニにとっても深刻だったんだろう。それでも彼は「泣かないで」とジナの気持ちを慮って帰った。
その後部屋で会った時に溜めていた怒りがフツフツと込み上げてくる。「死ぬほどムカついたと怒鳴ろうか?」「どんなに辛くても別れるなんて言うな」「部屋に閉じこもるのも反則だ」ジナがどう言い訳しても「さっきまでの俺の気持ちがわかるか?」「適当にやり過ごす気か」と抑えながらも怒りの感情をあらわにする。「別れ」を簡単に口にしたことに対する怒りに愛の深さを垣間見るシーン。
最後に「なぜベッドに?」⇒「泣いたらなしだ」⇒「ラーメンちょうだい」⇒「次は許さないからな」という展開がすごくいい。
 
24話:ジナに「つき合う前の関係に」と言われた時
アメリカから帰国したジュニがジナに「つき合う前の関係に戻れないか」と言われ、まだ気持ちの残るジュニは「本気でそう思うのか?」「できるのか?」と怒りをあらわにする。「最低だ」と言い残して帰ったジュニの家に追いかけていき、アメリカについて行かなかった理由やその後の気持ちをブチまけるジナに「俺には何の関係もない」と叫ぶシーン。なんだかやるせない二人の掛け合いに、胸が詰まる。ジナが帰った後のジュニの表情に注目。
 

ジュニの気持ちの盛り上がり

ジュニの気持ちの変化にも注目したい。最初は自信がなかった彼も、どんどん大人の男の顔を見せるようになってきた。ジナの男性関係の話になるとすぐに切れる未熟で手に負えないところはあるが、年上でも女性をリードする男の役割を自覚して、彼女は自分が守ると誓った後の彼は頼もしい。だけど、そんな彼もジナの母親に家まで押しかけられて頰を叩かれなじられた時にきっと心が折れてしまったんだろうと思う。ここの心情表現はすごく難しかっただろうに、観ているこっちが胸を締め付けられるくらい、何とも言えない悲しさが伝わってきた。
 
5話でジュニの家にきた理由を聞きにジナに会いに行き、いつものようにマンションの入り口まで送ったところで、暗唱番号ボックスを遮るように立って「帰らないとダメか?」と聞いた時。彼にとっては勇気を振り絞った第1歩。
5話では二人の食事中に告白しようとして言えずに「明日おごってくれる?」と聞いてしまったり、肩を組もうとして頭を掻いたり、そしてその後の飲み会の席でやっと手を握ったことで二人がお互いの気持ちを確かめて急接近する大事なシーンが多い。
 
6話では、ジナの出張についていって初めてのキス、7話で姉の不在中にジュニの家で初めての夜、、と恋愛の一番楽しい上昇気流に乗った進展が見ていて微笑ましい。出張先で寝てしまって失敗した夜を取り戻したくて、待ちきれないジュニが「もっと抱きしめたい」と言った時に、先にベッドにするりと行ったジナを少し驚いて見た時の表情がなんとも言えず可笑しい。もっと甘い言葉での展開を期待していたのだろう、と笑ってしまう。
 
彼の気持ちの一番のピークは8話でジュニが電話で初めて「愛してる」と口にした後、返事をもらえずに(こういう時、返事するのがマナーなのか儀式なのか?よくここ重視されるのが不思議)9話で「愛してるの返事を聞いてない」と迫り、11話でジニが携帯に吹き込んだメッセージに「愛してる」の言葉を聞いた時、自転車を止めて聴きながら涙ぐむジニの表情がとてもいい。やっと聞けた返事。
 
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英題がテーマ曲の題名そのまま「Something in the Rain」。ストーリー全体に雨と傘が象徴的に使われている。3話で最初にジュニが買ってジナに渡した赤い傘、17話でジナが買ってジュニに渡した緑の傘、そして最後の黄色い傘。最終話の「俺の傘は?」「まさか、捨てたのか?」というセリフには、今までの傘のやり取りからわかる彼の大事な思いが込められている。5話で過去の思い出を捨てるために傘を捨てようとしたこと、「捨てないで」「大切にして」というセリフ、この時に傘に込められていた気持ちが最終話で繰り返される。
 
そして「ジナなしでは生きていけない」という言葉も要所要所に出てくる。ベタなセリフなのに、そう聞こえないのはジュニだから。もし自分が今付き合ってる彼にそう言われたら、どう思うだろうか?「半分以上は気持ち悪くなる」に賭けたい、笑。
    
このドラマはあたかも年下恋人ジュニとの疑似恋愛を経験させてくれる、クセになりそうな麻薬効果を持っている。
ダウンロードして電車に乗って観ていると、もう自分が年下恋人チョン・ヘインを持つソン・イェジンになった気がして、コロナの恐怖も忘れてついニタニタしてしまう気持ち悪さも否めない。
寝る前に彼のシーンを観ると女性ホルモンが活性化されて、翌朝の気分も肌の調子もいいような気さえする。だが化粧をするために鏡に向かって改めて正気に返る。そう、決して忘れてはならない、自分はソン・イェジンではないということ。誰もがソン・イェジンになれるわけではない。肝に銘じろと、笑。
この物語はソン・イェジンとチョン・ヘインだから成り立つのであって、年上女、年下男だったら誰でもいいというわけではない。だけど、この鬱々したコロナ禍の中で、妙齢の女性にさえつかの間の幸せな気分を味わわせてくれたこのドラマに、とても感謝している。
あー韓国放送版DVD-BOXが欲しくて欲しくてたまらない。
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