猫のツメ、ときどき腰痛。

偏った物欲と健康への偏愛。ときどき旅。ときどき腰痛。 せまりくる高齢化社会を笑いながら生き抜くための情報発信ブログ。

猫のブリーディングにまつわる話

もう何年も前の話になるが、ロシアンブルーの子猫を探してあれこれブリーダーのサイトを覗いていた時、あるキャッテリーで、生後2ヶ月前の男の子を見つけた。早速友人と出かけていった。まだお母さん猫に甘えてるその子猫は小さくて、でもヤンチャで人懐こかった。
 
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兄弟がいて、そのコは明日大阪に引き取られるんだと言われた。早く決めないと、ロシアンはすぐにいなくなる。ブリーダーのおばさんの性格と、ちょっとここ、猫が多すぎないか?と環境が気になっていて、正直迷ったけど、帰り道には「決定」の電話をしていた。内金を入れて、2週間後に引き取る約束をした。
 
まだ2ヶ月歳になる前で早過ぎたのと、翌日から旅行に行くこともあって、引き取るのは2週間後にしてもらった。首につけてたゴム(髪を結わえるクルクル巻きのゴム)が首に食い込んでるのが気になって外してくれと頼んだら、「大丈夫だから」と。大丈夫じゃないから、子猫はすぐ大きくなるんだから、と頼み込んで渋々了解してくれたが、このおばさん、、、、
そしてそれからがここの変てこなおばさんブリーダーとの闘いになる。。
 
ネット上でこのブリーダーのずさんな管理が書き込まれているのを見つけた。そのせいなのかキャッテリーの名前を変えていたこと、相談した他のブリーダーが偶然このブリーダーとの間にトラブルがあったこと、、話を聞くにつれおかしなおばさんへの不安は的中してしまった!
 
でも仔猫に罪はない。もうとにかくレスキューする気持ちでその子猫を引き取りに行った。
 
「元気にしてたー?」会うなりわたしが子猫に声をかけたら、「元気じゃなきゃ渡しませんよ」とそのおばさんブリーターがダミ声で答えた。(おばさんに聞いたんじゃないよ)
家に連れて帰った途端、風邪をひいていることがわかって、その後すぐ真菌に罹患した。キャッテリーでは気づかなかったけど、うちに来てすぐ発覚したからもう罹患していたんだろう。慣れない環境では抵抗力も落ちる。まだワクチン前なので、獣医さんがすぐに往診に来てくれた。風邪は治っても、真菌は手強い。神経質になっている先住猫とも離したほうがいいので、子猫は部屋に隔離された。
 
「遊びに来たんじゃない、ここでコイツは暮らす気だ!」しかも「部屋をとられた!」と先住猫がますます落ち着かなくなり、ご飯を食べなくなった。
 
毎日子猫のブランケットを洗い、専用シャンプーで洗った。感染らないよう、先住猫も洗った。薬を塗ってもまた別のところに真菌が感染る。頭が、足が、赤く被れた小さな子猫の禿げ姿は痛々しかった。
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一番かわいい子猫期間を、「隔離された禿げ」として過ごしたその子は、その間少しずつ、患部に包帯を巻いて先住猫とも対面させた。子猫は真菌だろうが禿げだろうがまったく物怖じせず、天真爛漫で、いつでも無邪気に遊びたがった。
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だがもともと線が細い先住猫の方はどんどん痩せてしまって、感染したわけではないのに執拗に身体を掻くのを止めなかった。気持ちを落ち着かせるシロップや フェリウェイというフェロモン拡散器も試した。とうとう猫専門病院にも連れていった。精神的な原因でなかったらアレルギーかもしれないと言われて食事もかえてみた。でも一向に改善しなかった。
 
時間がかかる。。でもこのまま食べないとマズい。仕方なく、離乳食や、ペースト状のご飯をシリンジに入れて無理やり口に入れた。
 
その間、子猫のブリーダーおばさんは連絡しても返信もなく、やっと捕まえたと思ったらやたらと言い訳を並べては、「真菌の治し方を教えて欲しかったら、医者を信用せずに大人しく自分の言うことを聞け」と、理屈に合わない恫喝をされて辟易とした。
 
3ヶ月近く経っただろうか、、真菌が治ってきて、ますます自由奔放に駆け回り、先住猫を挑発するようになった。
先住猫は受け入れがたい事実に決して屈しないように見えたけど、ある日気がついたら!なんと同じベッドで寄り添うように寝ていた。。
おお!ついに根負けしたか、寒くなってきたからか?
いずれにせよ、わたしはその姿を見るなり、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。
 
たぶん、大丈夫。きっと、大丈夫。。
ふたり(2匹)はやっていける。
 
それから、追いかけっこが始まった。噛み合いは、お互いの加減を知る大事なスキンシップ、人間があまり介入してはいけない。噛み合って転げまわって、、、細くて華奢でもあくまで先住猫の方が優位を見せつけた。
猫の相性が合わないと、ずっとダメだと聞いていた。ストレスの度合いによっては一緒に暮らせなくなる。
祈るような気持ちだった。
 
そして、 落ち着いてからふと、子猫の血統書が届いてないことに気づいた。
ああ嫌だ、またあのおばさんブリーダーに連絡しなくちゃいけない。。。何度ものメールと電話の果てに、、信じられない返事が返ってきた。
「時間がかかってご迷惑をかけるので血統書代を返金します」
は?ここにきて何を言ってる?血統書付き純血種として販売しておいて、、嫌な言い方をすればそれはれっきとした詐欺じゃ???
もおおおおっ!めんどくさいこと言うなっ!
 
言ってることがおかし過ぎて丁寧に対応するには限界を感じ、友人に交渉を頼んだ。
さんざんのやり取りの途中、「何に使うんだ?」「もし、他の子と交配させるようなことがあったら純血種の証明が必要でしょう」と例え話で言ったとたん、「交配させて子猫を売ろうとしてるのかっ!資格がいるのに!あなたは馬鹿なのかっ!」と、すごい剣幕で怒鳴られたと言う。。え'' ?売るなんて言ってないだろ?やだ妄想癖?勘弁してくれよ。。
 
もちろん血統書にこだわってるわけではないが、ロシアンブルーとして迎えたことは事実。それに詐欺との闘いに負けるわけにもいかない。さらに何かウラがありそうな匂いがする。。
何に使用するのか言えという執拗なメールが何度も来てうんざり、、もう弁護士に相談すると伝えたら、突然3日後に血統書が送られてきた。子猫を引き取って4ヶ月近く経って(ふつうブリーダーから発行する所に申請して1ヶ月で送られてくる)からのことである。
 
そして、3日で発行なんて早すぎるその血統書の真偽を確かめるために、知り合いのブリーダーに見せたところ、、、なんと!「血統書を発行している所は問題ないが、交配の仕方に問題がある」と言われて驚いた。。
インブリーディング(近親交配)。ごく近い血縁で行われる交配のこと。インブリーディングが何代も続いている血統だと、優れたタイプの子猫が生まれる半面、肉体的に欠損したり、内臓障害などの先天性の奇形である可能性も高くなる。
ブリーディングには「インブリード」「ラインブリード」「アウトブリード」があるという。
ラインブリードは三代、四代、五代内で、同じ祖先を持つ雄雌による交配のこと。インブリードよりも安全に、優秀な遺伝子を受け継ぐ事が出来る。
もし強い体質だけを繁殖の目的とするのなら、かけ離れた血統間での交配アウトブリードが一番安全性が高いが、遺伝子がかけ離れているということは、どんなタイプの子が生まれてくるのかがブリーダーにはわからない。
インブリード自体はきちんと管理、計画されたものであれば問題はないという。競走馬がそうだ。だけど、ショーキャットでもないペット用の猫のブリーディングに、インブリードは必要ない。多くの場合、ラインブリードが中心で、時々アウトブリードして血を薄めるらしい。
 
そして、良識あるブリーダーは、ペット用販売にインブリードは行わないし、もし子猫がインブリードで生まれた子なら、飼い主にそのことを断るべきなのだそうだ。(たいていの場合、その子猫は敬遠される)
でも、お金儲けだけを目的として無計画にたくさん産ませて販売する心ないブリーダーもいる。費用もかからない身内の猫だけでブリーディングするからどんどん血が濃くなるのは当たり前だ。
 
その子猫の血統書は、インブリードしている証拠だった。それで渡したがらなかったのだろうか?最初から血統書付きで売っているのに?素人だから気づかないと思ったのか??
管理がずさんだから血統書を申請しようとして初めてインブリードの子猫だったことに気づいたのかもしれない。それで申請せずにごまかそうとしたのかもしれない。
 
あのキャッテリーには玄関を開けると猫がうじゃうじゃいて、もちろん純血種ばかりのようだったけどマンチカンやアメリカンカール、ロシアンブルーらがそこら辺をウロウロしていた。
ご飯の時間になって一度にあげるんだけど、どの猫がどのくらい食べるかなんて管理してないみたいだったし、そもそも何匹猫がいるのかという問いに「出入りが多いからわからない」と答えた。
子猫を産んだばかりの母猫のゲージが訪問者にも観れるようになっていて、気が立ってる母猫にはストレスフルだった。子猫の感染症にもよくない。
 
そして渡した子猫が肺炎になって返そうとしてきたというある飼い主の悪口を、憎々し気に話すおばさんブリーダーの感じが嫌な印象を与えていた。
 
相談したブリーダーは、こんなブリーディングをしている所は保健所に訴えて「動物取扱業の届出」許可を取り消してもらうべきだと言った。そうやって生まれてくる仔猫の中にはきっと奇形の子もいて、どういう処理をしているかわからないという。この人のせいでブリーダー業界が変な目で見られると。
だけど、その時、いまあそこにいるたくさんの猫たちはどうなるんだろう?それに、あのおばさんの執拗で気味が悪いメールの文章や、電話での狂気じみたダミ声を思い出して、怖くなった。ブルッ。「今はこれ以上関わりたくない気持ちです。将来的に何かあれば、証拠の一つとして提出してもいいけど。」勇気がないわたしはそう答えた。
 
子猫はそんな騒動があったことや自分の血統とは全く関係なく、どこ吹く風でわたしに甘える。血統を疑うとしたら、ロシアンブルーにしては熊の子のように丸々としていて、警戒心もなく、犬のように後ろ足で立ってワンワンとご飯をねだること。本当は犬とのミックスなのかもしれないと思うほど、笑。
 
そして今でも食が細くムラがある先住猫の残したご飯をいつも狙っている。
こんなことは先天性疾患も見つからずに、無事に大きくなったから言えることである。
もしかしたら偶然いい遺伝子だけをもらったのかもしれないけれど、2歳の誕生日検診までドキドキだった。何かを発症したらどうしようとか、大きくなったらアザラシに変身したらとか、、(それはないか)、、これからも大きな病気をしないことを願うばかりだ。
 
純血種の猫を迎える時、当たり前のように血統書が付いていたので、よく気をつけて見たことはなかったけど、この件で初めてブリーディングの詳細を知った。
今世の中は猫ブームだと言うけれど、安易にペットショップや変なブリーダーから買ってはいけない。仔猫を空輸するキャッテリーなんてもってのほかである。純血種が欲しいなら、必ずブリーダーのところに行って、母猫や兄弟の様子やその環境を自分の目で確かめてから、疑問に思ったことを聞いたら真摯に答えてくれるか、確かめた方がいい。
それでもそこにいる子猫に罪はないから、この子のようにレスキューするつもりで救ってもいい。最後まできちんと面倒見る責任を全うできるなら。
 
もちろん、できれば保護猫を探して1匹でも不幸な猫を減らすことも大事だと思う。ミックスにはミックスの醍醐味がある。
とにかく犬や猫は生涯の相棒になる。その思い出もまた大切な宝物になる。
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偶然出会えた縁を大切に付き合っていきたいと、膝にのってきては「ほれ、かわいがれ」というドヤ顔のこの子を見ながら思うのであった。。。
 
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