鼻中隔弯曲とは
鼻中隔とは左右の鼻腔を隔てる軟骨のこと。これが成長に伴って歪んだり、骨と軟骨がズレて曲がったりしてしまった状態を「鼻中隔弯曲」という。。
多少の湾曲なら大人のほとんどは何かしら曲がってるらしいのですが、
この湾曲が酷いせいで、若いころから鼻詰まりがひどく、口呼吸になるせいで鼻腔の炎症をしょっちゅう起こす始末。。
「左の鼻の穴が狭くて管もはいらないし、立派な手術対象です」と言われ続けてきた。
ここにきて花粉アレルギーだけでなく秋まで鼻炎が続き、粘膜が腫れ、満員電車の中で呼吸が苦しくなって何度も降りたこともあり、さすがに考えるように。。
しかも時折頭痛や片頭痛があるのは、どうも脳への酸素不足せいではないか?
アタマ悪くなってきたのは歳のせいかと思っていたが、本当は、もっと賢くて頭の回転もクルクル速いんじゃないか?とさえ疑い出したのである。
鼻づまりによる脳への酸素不足、、シンプル過ぎてあきれる話だがあり得ないことではない。
手術の説明
「曲がっている部分の鼻中隔軟骨を切除する手術です」と何度説明を受けても「え“?切除?削るんじゃなくて切除?」と終わった今になってもまだよく理解できていないのですが、とにかくそう。
「ついでに分厚く腫れた粘膜を削る鼻甲介粘膜切除術も同時に行います」
ええい、どうにでもなれ。
「ついでに鼻が高くなったりしますか?耳鼻科に入院だから整形とは思われないですよね?へへへ」
「曲がった軟骨部分だけを取り去るので、屋台骨の鼻の骨は触らないし鼻の高さも変わりありません」
「ただ、めったにありませんがこの手術のリスクとして、鼻中隔に穴が残ったり(鼻中隔穿孔)、鼻がへこんだり(鞍鼻(あんび))します」
ええ?そ、それは。。。
とにかく恐ろしくて何度も何度も手術内容や術後の様子を尋ねた。
全身麻酔で手術日の前日から8日間の入院。(え?なんでそんなに長いの?)
手術の内容は
・曲がって飛び出ている側の鼻中隔粘膜をメスで切開。
・軟骨膜下と骨膜膜下を剥離。
・鼻中隔軟骨を切開し、粘膜と軟骨を剥離。
・鼻中隔軟骨の曲がっている部分を切除。
・止血後、鼻中隔粘膜を縫合。
・続けて鼻甲介粘膜切除術で粘膜切除。
聞いただけでは理解できないが、とにかくコワいということだけはわかる。
しかも、術後は両方の鼻の穴にガーゼを何十枚も詰めて患部を圧迫止血し、傷からの出血を防ぐこと4日間。。
「え?そのまま?4日間も??どうやって息するの?」
「口で呼吸はできますから」
え“―――――――――っ!ムリ!
鼻呼吸まったくできなかったら死ぬ!
のどに何か詰まったらどうするんですか?
のどが腫れたら??これはムリ。
手術は全身麻酔で我慢できても、その後がムリ。
家で鼻栓して過ごしてみたけど、3分ももたないから。ムリ!
わたしはいったん退いて、術例や体験記を探した。
入院中能天気そうな人もいるけど、それよりも鼻からガーゼを抜くときの激痛についての記述がわたしを震え上がらせた。
「ヤカンが鼻から出てきたような」とか「失神した方がマシ」とか。。。
鼻のガーゼって、何十枚も喉の方まで詰め込んでいるらしい。しかし、鼻呼吸できない悩みやつらさを打ち明けた記述が意外に少ない。
いずれにしても拷問だ。。これは立派な罰ゲーム。わたしなにかしましたかね??
驚いたのは全身麻酔ではなく局部麻酔の人がいることだ。
「頭蓋骨を割られるのではないかと思うくらいノミとカナヅチでガツンガツンと骨を削られる感じ」ってどーなのそれ??
わたしだったら全身麻酔でも飛び起きそうで怖いっ。
しかしその中にひとつ、一筋の光明をみつけた。どこかの大学病院では
「鼻に詰めたスポンジの中には、息をするためのシリコンチューブが入っており、それにより、手術の後の完全な鼻詰まりを回避します」とある。
おいおい、あるじゃないか。シリコンチューブ!これこれ!
「これにしてください」わたしは病院でかけあった。
「いやーうちではやったことないいから。普及してないのには何かしらワケがあると思うんだけど」
ごもっともですが、とにかくこれにして欲しい。毎夜毎夜呼ばれるの嫌でしょう?先生。
根負けしたのか、とにかくトライしてくれることになった。
だけど、わたしを初めての患者にしないでね。まず他の患者でやってからにして。
こうやって手術の日を指折り数え、恐怖のまま迎えることになる。
(つづく)